デマントイド・ガーネット リング
イギリス 1900年頃
デマントイド・ガーネット(ロシア産)、オールドヨーロピアンカット・ダイヤモンド、18K
サイズ 12(変更可能)
僕は過去にいくつもデマントイド・ガーネットを使ったジュエリーを扱っていますが、最初に扱った35年ほど前です。
その時、宝石鑑別の専門家に見てもらったのですが、彼は鉱物の見本としての小さな石は見たことがあったけれど、ジュエリーにセット出来るような上質のデマントイド・ガーネットを見るのは初めてだと驚いていました!
デマントイド・ガーネットは、1868年にロシアのウラル山脈で発見され、パリ、ニューヨークそしてセントペテルブルグなどの高級宝石店のショーウインドウに飾られ、世界中の宝石愛好家に衝撃を与えた宝石、それがデマントイドなのです!!
中でもロシアの天才宝飾プロデューサー ・ファベルジェが好んで使った石なのです。
デマントイドはガーネットに属する石ですが、金色の輝きを帯びた、少し黄色がかったグリーンから茶色っぽいグリーンまでの色合いがあり、ガーネットとしては最高級の石で特別の存在なのです。
その名前の理由は「ダイヤモンドに似ている」という意味のオランダ語から来ていますが、ダイヤモンドよりも数値的には拡散率が高く、ファイヤー(虹色の輝き)もより大きいのが最大の特徴です!
唯、石の色がグリーンなので見た目にはダイヤモンドよりも強いファイヤーは分かりにくいのですが、他のグリーン系統のにはない強い光沢があり非常に魅力的な宝石です!
その強い光沢感は暗闇の中でも輝く石とさえ言われているほどです。
デマントイド・ガーネットほどアンティークジュエリーならではの石はありません!
何故なら質の良い大きな石は極めて希なうえ、1910年代ですでに鉱脈が枯れ、産出されなくなったからです!
1996年にアフリカのナミビアでデマントイドの鉱脈が発見され、市場にも出回るようになりました。
市場価格は過去に産出されたウラル産よりずっと安いのですが、それでも産出量が少ないせいか結構高価な値段が付けられています。
ロシア産のデマントイドは、アンティークジュエリーでなければあり得ない貴重な宝石ですし、それをセットしたこのデマントイド・ガーネット リングは、アンティークジュエリーの魅力を理解出来る方にとってはたまらない魅力がある指輪なのです!
ウラル産のデマントイド・ガーネットには、ホーステールという馬の尻尾のような結晶が入っている石があり、石マニアの人たちはそれが無いと興味がないようですが、それは僕から言わせれば本末転倒と言うものです!!
何故ならウラル産のデマントイド・ガーネットでも全部にホーステールが入っている訳ではなく、ホーステールが入っていなくても上質の石も多いからです!!
石マニアがホーステールに拘るのは、鉱物としての希少価値だけを考えるからで、ジュエリーの素材として考えるなら、ホーステールが入っている余り美しい色ではない石より、ホーステールが無くても美しい色の石の方が良いのに決まっています!!
ダイヤモンド以外ではデマントイド・ガーネットだけがファイヤー(虹色の輝き)が出ると言われていますが、ホーステールが沢山入っているほど、ファイヤーは出なくなるのですからね(笑)
ホーステールが入っていなくても、美しいデマントイド・ガーネットを使ったアンティークジュエリーは、希少価値の高い物なのです!!
最近では、ナミビア産のデマントイドもあるようで、ホーステールが入っている石だけがロシア産だと思われているようですが、それは大いなる間違いです!!
ナミビア産のデマントイドも上質の石が枯渇して、加熱処理された石がほとんどのようです。
ホーステールが入っていなくても、デマントイドの摩耗の具合、脇石のダイヤモンドのカット、石の留め方、指輪の作りとデザイン、それに金の摩耗の具合を見れば、この指輪が間違いなく第一次大戦前に作られた物と断定出来るので、その頃デマントイドが採れていたのはロシアのウラル地方しか無いことから、このデマントイドは、100%ロシアのウラル地方で採れた石と断定出来るのです!
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