エナメル・ミニアチュール（細密画）　ブローチ
『愛の松明』

天然真珠（ハーフパール）、18K
2cm×3,7cm
国名　不明（ヨーロッパ）　19世紀後期

ミニアチュール（細密画）には、絵の具で描いた物とエナメル（七宝）を使った物があります。

エナメル・ミニアチュールはガラス質の釉薬で描き、炉に入れて約800度の熱で焼成するのですが、色によって温度が違うので、多彩で美しい彩りのエナメルは高度な技術が必要とされるのです。

絵の具で描くミニアチュールは、退色を防ぐ為にガラスでカバーする必要がありますが、エナメル・ミニアチュールはガラス質なのでその必要がありません。

だからこのブローチのように強く湾曲した形の物が作れるのです。

その結果、立体感を出せますし、見る角度にによってイメージが変わる視覚的な効果があります。

エナメルの場合は金又は金属に描くので、 このブローチのように湾曲した物に描けるのですが、絵の具のミニアチュールは、象牙又はマザーオブパール（真珠母貝）に描くので、フラットな物がほとんどです。

エナメル・ミニチュールは、ガラス質の釉薬で描くので、絵の具のミニチュールのような細密な絵は描けませんが、透明感のある美しい彩りなので、ジュエリーに使われる技法として人気が高かったのです！♪

このミニアチュールの構図は、愛の松明とキューピッドの持ち物の弓矢が入った矢筒で、典型的なラブジュエリーらしいものですが、キューピッドがいなくてその持ち物だけを描いているのが洒落ています！♪

きっと愛する人の為に作らせてプレゼントされた物なのでしょう。

フレームは小さな天然真珠を半分にカットした物をセットしていますが、その留め方は実に丁寧で、真珠のコンディションもとても良い状態です。


※　 エナメルの技法に付いては《知られざるエナメル》でご覧下さい。