捕鯨
19世紀後期の捕鯨

スクリムショー
マッコウクジラの歯
長さは14cm
これは僕が38年前の最初の海外買い付けで発見した宝物です!♪
裏
『スクリムショー ― 鯨捕りの芸術』

この時代の捕鯨船は、現代とは違って、いったん港を出ると2年から4年という長い歳月を経なければ母港へ戻ることはなかったのです。
その理由は船倉一杯に鯨油が貯まらなければ帰港しなかったからです。一頭のクジラを捕らえたあと次のクジラを捕らえるまでに数ヶ月が過ぎることもあったようで、その間、あちこちの港に薪炭や水、あるいは食料の補給のために寄港することがあったにせよ、来る日も来る日も波に揺れる狭い船内で鯨との出会いを待つ毎日は、想像を絶する過酷なもので、何か気が紛れることをしていないとどうしようもなかった筈です。

だから航海中の船の中で唯一手に入るマッコウクジラの歯を材料にした彫り物が、捕鯨船の船員の手で作られるようになったのです。
この画像のスクリムショウの裏には「Alice 1868と彫られているので、きっと奥さんは恋人がAliceという名前で、彼女にプレゼントするために作ったのでしょう。
19世紀の下層階級の労働者の労働環境は、現代人には想像も出来ないような過酷なものだったのです。
ヴィクトリア時代のロンドンの縫い子は、朝6時から深夜の2時頃までろくな休憩も取ることなく、立ちっぱなしで仕事をしていたと何かの本で読んだことがあります。そんな中で鯨取りたちは時間だけはいくらでもあった訳ですからね・・・。

僕はこのスクリムショウを見ていると、危険で過酷な環境の中で、何かを作って気を紛らせたかった鯨取りの気持ちが伝わって来ます。
スクリムショウには、作家の作った作品にはない、普通の人たちが生きるために厳しい環境の中で作った物ならではの心が感じられるのです。

スクリムショウについては下記のページに詳しい説明がありますので、興味のある方はご覧になってください。
『スクリムショウについては』


側面
スクリムショウ 鯨捕り 
スクリムショウ 鯨捕り 木製の台は、僕が日本で作ってもらった物です。紐は固定するための物です。

スクリムショウ 捕鯨船 アンティーク
これも1868年の彫られた物と同じ鯨取りが同じ航海中に作った物だと思います。
作行きと文字が似ていますから。
Sea Godと書いてあるのでお守りとして作ったのかも知れません。
木製の台は僕が日本で作ってもらった物です。

スクリムショウ 捕鯨船 自分が乗っている捕鯨船を彫った物でしょう。


裏に1869 Sea Godと彫られていますが、危険な仕事のお守りとして作ったのかも知れません。
スクリムショウ 拡大
彫ってある細い線は美しく、鯨捕りの芸術という言葉がぴったりです。
右側面 左側面
この二つのスクリムショウは、44年前に僕が初めてロンドンに買い付け行った時に出会った宝物なので、ヘリテイジコレクションに加えてもらうことにしました。



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