問題A

昔は当たり前のように出来たことが今は出来なくなっているのは何故なのでしょう?

(現代の 非常に高価なジュエリーにはまっとうな作りの物もありますが、また別の問題があります。それについては後でお話します)

88548@静岡さん
困りました(^^;)

宮廷お抱え工房とか、ギルドとか、細かい分業作業、職人さんの世襲制に関係するのでしょうか…?
昔、例えば、偉い権力者の御用達になれたら、
その権力者の取り巻きを顧客にできる可能性がある。儲かるかもしれない。
だから、工房単位が作品を競い合う。ここはトレンドとか完成度の競争。
例えば、職人さんのレベルだと、ヨーロッパは職業の世襲制が伝統的なので、
おじいさん、お父さん、子供、孫と面々と同じ仕事をし続けて技術を継承しつづける

Gen

ロシアのファベルジェの最大のパトロンは、ロシアの皇帝ニコライ二世です。
だからあのロイヤルイースターエッグのような素晴らしい作品が作れたのです。

スポーツの世界でも一人の天才が現れると、その国や地域から次々に優秀な選手が出ることがありますが、これはそこに住んでいる人たちが、自分も頑張れば優秀な選手になれるという意識の変化が起きたからだと思います。

だからロシア皇帝が天才ファベルジェのパトロンになったことで素晴らしい作品を作られるようになり、それに刺激を受けたロシアのジュエラーが優れた作品を作るようになり、ロシアのジュエリーのレベル一気にレベルアップして、ヨーロッパに勝るとも劣らぬジュエリーを作るようになったのです!!
それが1917年の革命ですべてが終わってしまったのはとても悲しいことです。

ロシア 雪の結晶 ブローチ アンティークジュエリー
過去に扱った素晴らしいロシアのアンティークジュエリーをご覧下さい。
画像をクリックしてご覧ください。

88548@静岡さん

タガネ担当は末代までタガネ、鋸担当はずっと鋸担当という風に…
そして、タガネ職人同志はその中で、鋸引き職人同志はその中でライバル関係で凌ぎを削って
競い合う。結果技術レベルの安定、向上に繋がる。
末端に行けば行くほど、職人さんは自分が何の何処を作っているか分からないけれど、
仕事はコンスタントに欲しいから、ひたすら真面目に作業をする。作業は継続していれば
製品の精度は安定、向上。慣れてくると生産性が上がる。
そういった連続性の結果、当時の工房で最終的に出来上がった作品のレベルが高くなりました。
ということでしょうか?
Gen

う〜ん、そういう徹底した分業は、今の自動車が大量生産のシステムで作られているように、同じ物を分業することでコストダウンして早く安く作る為のものだと思います。
昔のジュエラーは、エナメルや石のカット以外はすべて一人の人間が作っているのです。

職人の世襲制だけでは、本当に優れた物は作れないと思います。
天才の子供は天才ではないでしょ?
名人級の腕の良い職人の子供が同じように腕が良いとは限らないのです。
だから何代も続いている工房だから特に優れた物を作れるということではないんですよ。
その工房に入ってきた弟子の中で優れた才能を持った人がいたとしたら、独立して自分の作りたい物を作ろうとするものです。

カステラーニは一代で終わっているし、ジュリアーノも息子の代でレベルが落ちて終わっているようにね。

カステラーニ作 アンティークジュエリー 「イタリア考古学風ジュエリー」
ノーサインではあっても、カステラーニの特徴がはっきり出ている名品です!!
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ジュリアーノ作 ファイヤーオパール ペンダント アンティークジュエリー

ネオルネサンス様式
ファイヤーオパール ペンダント
カルロ・ジュリアーノ(Carlo_Giuliano)作

イギリス 1880年頃
ファイヤーオパール、エメラルド、ブラック&ホワイト・エナメル、18K
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※これは初代ジュリアーノの作品です。

画像をクリックしてご覧ください


日本の焼き物の『柿右衛門窯』は十四代も続いていますが、初代の素晴らしい作品に比べれば今の十四代の作品は、見る影もない低いレベルです。だから世襲制は単純な物を正確に作るのには良いかも知れませんが、独創性のあるアーティスティックな物を作るような人材は育たないのです。

でも、現在はそういった世襲制制度がくずれ、権力者というパトロンもいない。
一代でビッグマネーを手にしたけれど、センスのある消費者がいない。

美意識ががないからビッグマネーを手に入れられるんですよ(笑)。
今のお金持ちは何億何十億の絵画は投資の為に買うけれど、良い腕の職人のパトロンになるような人は皆無なのです!
拝金主義だから金持ちになれる→だから美意識なんてある訳がない(笑)

骨董屋の専門用語に『目利きの商売下手』というのがあります。
目が利かない人の方が恥を知らないから儲かる物なら何でも売ることが出来て商売繁盛ってことなんです(笑)。
僕がいつまで経っても貧乏なのは・・・。

センスのある消費者がいなくなったから良い物を作ることが出来なくなったというのは正解です!
第二次大戦後はヨーロッパの上流階級の人たちは力をなくし、アメリカの台頭で徹底した大衆化が進み、大量生産、大量消費の世界になってしまいます。

だから良い物を作ってもそれを理解して購入する人たちが激減し、良い物というよりも宝石主体のハリーウインストンのような会社が蔓延っているのです!

優れたアンティークジュエリーのような物を作れなくなったのは、作ってもそれを理解出来る消費者がいなくなったからです!

工房は、例えばマネーゲームの好きな投資家の株主交代劇が続いて
工房のカラーをアピールする以前に、株主中心の売らんかなの姿勢が先行している。
製品は大量生産、製品化のスピード重視、売れそうな価格帯に的を絞るので、
コストの関係上、結果単純な工程でしかやらない。
結局、力を発揮できない職人さんの意識も技術も低くなりました。
という結果が現代の状況でしょうか?

素晴らしい!♪
大正解!!仰るとおりです!
今は職人にとっては受難の時代です!
良い腕の職人ほど、早く安くっていう客しかいねーんだよと嘆いているのです。
まだまだ言いたいことは沢山あるけれど、今回はこのぐらいにしておきます。

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