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AとBは少しバックライトが当たった画像です。 | ||
ストーンカメオ・ルース 「王妃」 フランス又はイギリス 1860年頃 アゲート(三層)、 3,3cm×2,1cm |
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ベースの部分が半透明の三層のアゲートのカメオなので、裏から少しでも光が当たると実に美しい色になります。 このカメオの最大の特徴と魅力は、三層のアゲートの最上層を薄くカットして、繊細で美しいグラデーションを表現していることです! 王冠から下がる布のドレープとグラデーションは実に美しく、それは三層の最上層を薄くカットして微妙に厚みを変えることで表現しているのです! これは相当に高度な技術とセンスを持っていないと絶対に出来ない非常に難しい仕事です。王冠の下部と髪の一部も同じ仕事で表現されています。 王妃を思わせる特徴のある衣服とそれを留める真珠が付いたジュエリーの仕事にも、作者の優れた作品を作ろうという気持ちが伝わってきます。 三個づつ連なった真珠は奇麗な半球状に彫り残されていますが、これは非常に難しいことで手間の掛かる仕事でもあるのです。 別に彫った物を付けるのは簡単ですが、それでは取れてしまう可能性があるので、彫り残してあるのです。 カメオでは女性の首に真珠のネックレスを彫ってあるのは珍しくはありませんが、これほど奇麗な半球状に一つづつ完璧に彫ってあるのは僕も過去に記憶がありません! しかも真珠のネックレスのように一箇所に連なっている物よりも、このカメオのように間隔を空けて広範囲に真珠の珠を彫り残すことが如何に困難で手間の掛かることを想像してみてください。 こういう半球状の形を彫り残すには、絶対に失敗は許されない怖い仕事なのです!! だからこういう彫りのカメオは19世紀のカメオでも特別の作品なのです! 気品のある美しい目鼻立ちの彫りは、作者の腕の良さを示すものですし、衣服の襟のレースには美しいドレープも巧みに表現されています。 大きな拡大画像を見れば分かりますが、後頭部の編んだ髪の彫りも実に見事です。 これほど優れたカメオなのに価格がお安いのはルースだからですが、かえってフレームがついていなくて良かったとも言えるのです。 何故なら、もしオリジナルのフレームが付いていれば価格は3倍ぐらいにはなりますし、19世紀中期のカメオのフレームの中には装飾過多に陥った物も少なくないからです。 ストーンカメオの美術的価値は、あくまでも石の特性を活かした彫りにあるのです! 19世紀以前のストーンカメオにはいろいろな石が使われているので、色彩も多彩ですが、シェルカメオは貝の種類が限られていますし、限られた色しかありません。 昔はカメオに使える美しい層を持つ石が豊富にあったので、実に多彩な色合いも美しいカメオが作られていますし、カメオと言えばストーンカメオが圧倒的評価が高かったのです。 シェルカメオは材料費はタダみたいな物ですし、柔らかいのでストーンよりもずっとと簡単に彫ることも出来たので、19世紀中期から後期のカメオの大ブームの頃に低価格のシェルカメオがストーンカメオの代用品として沢山作られるようになるのです。 現代のカメオではストーンカメオよりもシェルカメオが主流なのは、ストーンカメオに使える美しい層を持つ石が無くなってしまったからで、今でもいくらでも手に入り、彫りやすいシェルカメオが主流になってしまったのです。 |
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王冠から下がる布のドレープとグラデーションは、実に美しくそれは三層の最上層を薄くカットして微妙に厚みを変えることで表現しているのです! これは相当に高度な技術とセンスを持っていないと絶対に出来ない非常に難しい仕事です。王冠の下部と髪の一部も同じ仕事で表現されています。 |
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三個づつ連なった真珠は奇麗な半球状に彫り残されていますが、これは非常に難しいことで手間の掛かる仕事でもあるのです。 別に彫った物を付けるのは簡単ですが、それでは取れてしまう可能性があるので、彫り残してあるのです。 カメオでは女性の首に真珠のネックレスを彫ってあるのは珍しくはありませんが、これほど奇麗な半球状に一つづつ完璧に彫ってあるのは僕も過去に記憶がありません! しかも真珠のネックレスのように一箇所に連なっている物よりも、このカメオのように間隔を空けて広範囲に真珠の珠を彫り残すことが如何に困難で手間の掛かることを想像してみてください。 こういう半球状の形を彫り残すには、絶対に失敗は許されない怖い仕事なのです!! だからこういう彫りのカメオは19世紀のカメオでも特別の作品なのです! |
後頭部の編んだ髪の彫りも実に見事です。 |
Dは18世紀様式のゴールドフレームを付けた完成予想画像です。Cはその拡大画像です。 このた完成予想画像は、18世紀のカメオのフレームとこのカメオを合成した画像です。 18世紀のインタリオの指輪のベゼルやカメオのブローチのフレームによく使われているデザインです。 一見シンプルだ簡単そうですが、実は細い縁に溝を彫るこの加工はとても難しい加工なのです。 今では余程腕の良い職人でないと出来ない仕事なのです! |