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マイクロ・カーブドアイボリー ブローチ 『幼子キリストと聖母マリア』 フランス? 1770年〜1800年頃 アイボリー、マザーオブパール 5,5cm×4,2cm 18世紀後期は、小さな超細密な細工物が有名画家の作品よりも高く評価されていた特別の時代です。 工芸は絵画や彫刻に比べて常に評価が不当に低く、レッサーアートなどと酷い言われ方をしていますが、このマイクロ・カーブドアイボリーが作られた18世紀後期は、長い美術史の中でも特別の時代だったのです!! マイクロ・カーブドアイボリーは、ハプスブルグ家の女帝マリアテレジアなどのヨーロッパ各国の王や有力な貴族が争って注文しほど人気があったのです。 マリアテレジアが注文したマイクロ・カーブドアイボリーは、今の貨幣価値に換算すると約20億円にもなるほど高価な物で、当時マイクロ・カーブドアイボリーが如何に猛烈に人気があったかが分かります。 マイクロ・カーブドアイボリーのトップレベルの作品を作れる作家は、当時4〜5人で、僕も以前にトップレベルのマイクロ・カーブドアイボリーを扱ったことがあります。 その作品は仙台市内のお客様にお嫁に行きましたが、昨年の大震災も無事に生き抜いたようです。 その内、それをお借りして撮影し直す予定ですので、その時は皆さんにもぜひ、見て頂きたいと思っています。 このマイクロ・カーブドアイボリー『幼子キリストとマリア』は、久しぶりに扱う物ですが、随所に18世紀のマイクロ・カーブドアイボリーならではの細工が成されています。 上部の立体的に彫られた二人の天使も見事な彫りですが、幼子キリストを指さす人差し指がよくぞ壊れずに残っていたものだと感心します! 二人の天使の下部(中央と左右)の木の枝のような繊細な透かし彫りは、19世紀のドイツのカーブドアイボリーの鹿などにも見られる彫りですね。 幼子キリストと聖母マリアの部分は、マリアの頭部にある輪や左右の立木がすべて一体で別々に作って付けた物でありません! 聖母マリアと幼子キリストは表情まで分かる良い彫りですが、左右の立木が実は見逃してはいけないポイントで、自分はこんな凄いことがやれるんだとの自負が感じられるもの凄い繊細な彫りなのです!!! このことは斜めから撮った画像を見て頂きながらお話致しましょう。 幼子キリストと聖母マリアの下にはマザーオブパールが敷いてあるので、 虹色に輝く神々しい雰囲気が感じられ、実に良い雰囲気です。 元はガラスの蓋があったのですが、今は無くなっています。 マイクロ・カーブドアイボリーは当時も額装して飾り、使う時はそこから外して使ったようです。 額装すれば、二流の版画などよりずっと楽しめると思います。 |
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この角度で見ると、太さが1mmほどの細い立木を自然な形に彫ってあるのが分かります。とても薄い木の枝や葉まですべて一体に一枚の象牙から彫り出すなんて、とても人間業とは思えない細工です!!! |
この角度で見ると、左側の立木が厚みがあるのが分かります。 幼子キリストと聖母マリアの表情まで巧みに彫ってあるのが分かります。 キリストの頭部は2mmもないぐらいの小さな物であることを考えると、古代のインタリオのように目で確認しながら彫っているのではないことが分かります。 米粒に文字を書くのも目で見て書くのではないのですが、それと同じことです。 全くの感だけの仕事なのです。 まあ、米に文字を書くのはちょっと器用な人なら誰でも練習すれば書ける簡単なことのようですが・・。 |
上部の立体的に彫られた二人の天使も見事な彫りですが、幼子キリストを指さす人差し指がよくぞ壊れずに残っていたものだと感心します! |
幼子キリストと聖母マリアの下にはマザーオブパールが敷いてあので、虹色に輝く神々しい雰囲気が感じられ、実に良い雰囲気です。 |
二人の天使は立体的に彫られています。 |
裏にヒビが入っていますが、これ以上ヒビが入るようなことはありません。 ブローチのピンは後で付けられた物です。 |