シーホース(海馬)に乗ったアンビトリテ インタリオ アンティークジュエリー
幻の技法のインタリオ
『シーホース(海馬)に乗ったアンビトリテ』
インタリオは古代ローマのニコロを以外はすべて単色(単層)で地味な物ですが、この『シーホースに乗ったアンビトリテ』は、オレンジとホワイトの二色でまるでカメオのような美しいシルエットを感じさせる、独創的なアイデアで作られたインタリオです!!♪

このインタリオは三年前に一度販売していて、その時は二層の層を持つ珍しいコーネリアンだと思っていたましたが、その後、偶然にルネサンス時代のインタリオで、これと全く同じ色彩と質感の作品を扱い、その時二層のコーネリアンではなく、古代からある着色技法であることを知りました!!!

この技法がほどこされた作品は非常に少なく、文献も残されていないので、どのような工程で作られたのかはっきりしたことは解っていません。

このインタリオに使われているコーネリアンという石は、カルセドニー(玉髄)という石英を主成分とした宝石の一種でオレンジ色をしていますが、カルセドニーの多孔性や内部に含まれる金属元素などを利用して古代から着色が行われてきたようなのです。

白い層は表面に蜂蜜のような物質を塗って、アルカリ土壌に埋め、熱を加えることによって、表面から白い成分が浸透して上部が薄いホワイトの層になるということのようです。

この技法については、絵画論や彫金と違って職人や美術家による文献が残されていないので、実際にどのようにして作られたのかについては推論しかできません。

ルネサンスの彫刻や宝石彫刻が古代美術として売られるケースも当時からあり、それがあまり文献が残されなかった理由なのかもしれません。バロックの巨匠ルーベンスは古代のインタリオ・カメオを収集しましたが、偽物を作られることを恐れて滅多に他人には見せなかったと言われています。

この『シーホースに乗ったアンビトリテ』は、19世紀中期のインタリオ作家が、古代ローマかルネサンス時代の同種の作品を見て、再現しようと試みた作品かも知れないなと思っています!!

このようなインタリオは、ロンドンのディーラーも今まで見たことのない物だと言っていましたし、僕もこの仕事を40年もやっていても見たことがありませんし、海外のインタリオの本でも全く見たことがありません!!

19世紀中期にこの技法を再現した作者は、おそらく試行錯誤で大変な苦労をして完成させたのでしょうが、当時はカメオの全盛期なだけに、以外にも高く評価されることは無かったのではと推測しています。
だから、作者はこの作品を一点だけ作っただけで終わったしまったかも知れません。

現在では宝石の人工処理は質の悪い石を高く売るための常套手段となっていますが、このインタリオの場合はあくまで、素晴らしい彫りを視覚的に高める表現技法として採用されているのです!!
単にコーネリアンに白い層が施されているから価値があるのではありません。






1円玉サイズ ←実物大
ブラウザによって大きさが違いますが、1円玉(直径2cm)を置いてみれば実物との大小の比率が分かります。


インタリオ ブローチ
イギリス 1860年頃
コーネリアン、15ctゴールド
3cm×3,7cm
重量9,4g
アンティークケース付き
¥588,000-
ヴィクトリアン コーネリアン エトラスカン ブローチ

 

コーネリアンの発掘品でときおり見られるのが、この白い石灰質が偶然に沈着したと考えられる現象です。ダメージと考えて取り除くこともできますが、これはこのままの方が時代の証明にもなりますし、味があって面白いと思います。

『シーホース(海馬)に乗ったアンビトリテ』のインタリオは、コーネリアンのこの現象を人為的に再現しようとした物だと考えられます。

古代ローマ インタリオリング
『雪の中を走るメッセンジャー』

古代ローマ 1世紀
コーネリアン(シャンクは後の時代)
※ルネサンスで取扱中です。

画像をクリックしてご覧下さい。


インタリオ 拡大 縁 拡大
このインタリオは古代ローマのニコロを使ったインタリオと同じ発想で作られた極めて珍しい作品です!!

シーホース(海馬)に乗ったアンビトリテの周りには美しい植物模様の装飾が見られますが、これもインタリオとして過去に見たことのない珍しい手法です!

こういうファンタジックで美しいインタリオは、カメオが大流行していた時期だけに、女性がブローチとしてドレスに付けた時に映えるように特別に作られた作品だと思われます!

粘土に押した画像  
シーホース(海馬)に乗ったアンビトリテ インタリオ 右斜め フレームの装飾は、縒り線 と粒金を使ったユニークな物です。


こういう過去に見たことのない珍しい物を見ていると、アンティークジュエリーほど奥の深い物はにとつくづく思います。


皆さんもどうせなら、もう二度と出会うことがない美しい物を購入されることをお勧め致します。
シーホース(海馬)に乗ったアンビトリテ 左斜め

このインタリオが作られた1860年頃はカメオが大ブームになった頃なので、カメオのように女性にも好まれるインタリオとして作られたのだと考えられます。

このインタリオのような美しいインタリオがもっと作られていても良さそうなものですが、コーネリアンの着色技法が難し過ぎて、作られなかったか、それとも何らかの思いがけない出来事で、この作品が唯一の物になってしまったかなどと考えています。

とにかく19世紀後期に入ると、インタリオ自体が姿を消してしまい、二度と現れることは無かったのです。

シーホース(海馬)に乗ったアンビトリテ 斜め下  
裏 ケース内部
裏はロケットになっていますが、今はガラスが外れないようになっています。
ケース外側 オリジナルではありませんが、良い雰囲気の皮ケースが付いています。

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