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傘の柄 ファベルジェ ロシア 1890〜1900年頃 ロッククリスタル(水晶)、ルビー、ローズカット・ダイヤモンド、ギロッシュエナメル、ゴールド オリジナルバックスキンケース付 |
このファベルジェの傘の柄は、20年ほど前にべルビー赤坂に店があった頃、日本で偶然手に入れた物です。 白鳥の首の部分は、細かい羽毛まで表現した見事な仕事で造型的にも素晴らしい物ですし、手に持つとひんやりした手触りは水晶ならではの心地良いものでした。 これだけは一生売らずに自分で持っていたかったのですが、その後、悪夢のような辛い出来事が続き、ついに店を人手に渡さなければならなくなったのでした。すべての商品と、僕が好きで集めてディスプレーに使っていた小物、それに資料としての本までも持って出ることは出来なかったのです。 それは生涯で最も辛い出来事でした。そんな中でかろうじて持ち出すことが出来たのがこのファベルジェの傘の柄と今でもギャラリーで使っているルーペ、それにモナコ王室のサイン帳だったのです。 悪い事は重なるもので、再起の買い付けの為の資金まで恩人である友人を助けるために用立てていたのですが、事故で戻らなくなり、絶望の淵に立つはめになったのでした。 そんな苦しい時に僕を助けてくれたのがこのファベルジェのスワンでした。まだ、日本ではファベルジェは全く知られていなかったので、これをロンドンに持って行ってジュエリーに取り替えてやり直そうと思ったのです。本当に愛していた物を売ってしまうのは辛かったけれど、良いものだからきっとそれが解る人の手に渡って大切にされるだろうし、僕もそれによって再起出来れば、このスワンもきっと喜んでくれるだろうと思ったのです。 アンティークの良い物って何かの時には助けてくれるものなんだなあって思ったものでした。 いつかまた、きっと僕の手許に戻ってくる、最近はそんな気がしています。 『後日談』 その2年後にロンドンで買ったファベルジェの本に、この傘の柄が載っているのを見て感激したのでした。 創始者がファベルジェの研究家で、主にロシアのアンティークを扱っているWartski の所有と書いてあったので、Wartski に行ったのなら、この傘の柄にとっては良いことだと、僕も何となく安堵の気持ちになりました。 |