ロシア エナメル ロケットペンダント アンティークジュエリー

「ロシアン アールヌーボー ロケットペンダント」
ロシア 1890〜1900年頃
デマントイドガーネット、ローズカットダイヤモンド、ギロッシュエナメル、約14ctゴールド

僕は30数年程前に出会ったロシア人の友人からファベルジェ始めロシアの皇帝に纏わるようなジュエリーや銀器の販売を委託され、それがきっかけでロシアのアンティークジュエリーの知られざる魅力を知ったのです。
十数年前前にNHKでファベリジェが紹介されたので、今でこそ日本でも知られるようになって来ましたが、それまでは日本では全く知られていなかったのです。
ファベルジェと言う一人の天才が現れたことに刺激され、19世紀末から革命までの時期は、ロシアののジュエリーが世界で最も高い水準の物を作っており、且つ、ヨーロッパのジュエリーとはひと味違うエキゾチックなデザインと凝った作りに世界中が魅了されたのです。
いろいろお話したいことは沢山ありますが、長くなってしまいますので興味を持たれた方は僕のセミナーにいらしてください。

さて、このロケットペンダントですが、これもロシアンジュエリーの特徴が良く出ているとても優れた作品です。
まず注目すべき点は、白のギロッシュエナメル(地模様が透けて見えるエナメル)で、拡大画像を見ると複雑な曲線で且つ、すごく細い線ま彫られているのが解ります。このようなギロッシュエナメルはヨーロッパの物ではほとんど見かけない非常にレベルの高いエナメルなのです。やはり当時、エナメルではファベルジェを始めとするロシアの工房の物が世界一と言われただけのことはありますね。

そしてその美しいエナメルの上にアールヌーボースタイルの金の植物模様の仕事がまた素晴らしい!!
部分的に裏から打ち出して立体感を出し、繊細な美しい線を彫っています。花びらの雌しべの部分にはロシアでしか採れないデマントイドがセットされていますが、さすがロシアのジュエリーだけあって、小さくても素晴らしい色の上質の石が使われています。中央のローズカットダイヤモンドがセットされた部分のラインはいかにもロシア的な独特の曲線です。

デマントイドガーネットとローズカットダイヤモンドをセットした美しい曲線の透かしの下に、白い複雑で繊細な模様のギロッシュエナメルが見えますが、曲線の調和による相乗効果があるからこそ美しいのです。これこそデザインの勝利です!

このようなアーティスティックな作品を作るには、単に技術だけあっても作れるものではありません。
ある種の才能が必要なのです。
当時のロシアはヨーロッパには無かった新しいものを創り出すエネルギーが満ちていましたが、ヨーロッパに追いつき追い超そうというパワーと、革命前夜の何か複雑なな心理が働きあったのかと僕には思えるのです。


ロシア エナメル ロケットペンダント 拡大

拡大画像を見ると複雑な曲線で且つ、すごく細い線ま彫られているのが解ります。このようなギロッシュエナメルはヨーロッパの物ではほとんど見かけない非常にレベルの高いエナメルなのです。やはり当時、エナメルではファベルジェを始めとするロシアの工房の物が世界一と言われただけのことはありますね。

ロケット内部
写真の画像は最後の皇帝ニコライ2世の妻、アレクサンドラ妃と彼女が可愛がっていたアローです。(笑)


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