17世紀 ホワイトシェルカメオ「スザンナと長老たち 」
17世紀 ホワイトシェルカメオ
「スザンナと長老たち 」 バックライト

オイスターシェル カメオ
「スザンナと長老たち 」
 「SUZANNE ET LES VIEILLARDS」
旧約聖書外典「ダニエル書補遺」
ドイツ 17世紀
4,2cm×3,5cm  重量15,5g
フレームは18金の当社製
Sold

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ブラウザによって大きさが違いますが、1円玉(直径2cm)を置いてみれば実物との大小の比率が分かります。


ホワイト・シェルカメオ
「ウルカヌス(ヘパイストス)の鍛冶」

ホワイト・シェルカメオ ルース
「ウルカヌス(ヘパイストス)の鍛冶」
ドイツ 17世紀
幅7,6cm
大英博物館蔵

アルガルディがウルカヌスがウェヌスの頼みでアイネイアスに鎧を作っている場面にならったもの。
枠はなく、箱の蓋に付けられていた可能性があります。

この絵は、アレッサンドロ・アルガルディ(1598-1654)の失われたレリーフから取られたものだとジェニファー・モンタグ博士は指摘しています。

イタリア起源のモチーフですが、このカメオのドイツ人の仕事であることを疑う理由はありません。

16世紀にまでさかのぼる、長い、貝の彫刻の伝統がドイツに存在したからです。

カメオは、ジュエリーとしてだけではなく、独特なドイツの趣味に基づいた、キャスケット(宝石箱)、キャビネット、装飾皿、杯、に使われました。
ストーンカメオ 断片
『鷲にまたがるゼウス』

このシェルカメオは約300年前の極めて珍しいシェルカメオです。
カメオブームで沢山作られた19世紀以降のシェルカメオとは全く別物なのです。
白で質感の違う二層の層を持つ見たことの無い珍しい貝で、下の層は半透明で上の層は不透明なので、裏から光りを当てると幻想的な美を感じます!♪

19世紀のシェルカメオはほとんどが茶色と白の二色の層を持つ貝を使っていますが、このように白の単色で質感の違う層を使ったカメオは、左の古代ローマのストーンカメオにも見られます。

もしかすると、古代のカメオを見て、似たような効果の出る貝を手に入れた作者が作ってみたのかも知れません。

欧米の美術館所蔵の古い年代のシェルカメオを見ても、このようなホワイトシェルカメオは極めて少ないのです!!

大英博物館所蔵の「ウルカヌス(ヘパイストス)の鍛冶」と比較しても、「スザンナと長老たち 」のカメオが如何に美術的希少価値が高い作品であるかが解ります!!

僕はこの300年も前に作られたシェルカメオの希少価値と魅力を、皆さんにぜひ解って頂きたいと思います。30万円台の19世紀中期のシェルカメオと比較してみてください。

ミュージアムピースと言えるこのホワイトカメオが如何に素晴らしいか、如何に価格が安いかがお解り頂ける筈です。

ストーンカメオ 断片
『鷲にまたがるゼウス』
古代ローマ 紀元前1世紀
このカメオも白い色の石(クリストバライト)で、「スザンナと長老たち 」のシェルカメオと同じように、下の層が半透明で上の層が不透明な層を持つ石が使われています。

このカメオを見ていると、古代のカメオは19世紀のどんなに有名な作家のカメオやルネサンス期のカメオより、数段美術的価値があるなと思えますね。僕が持っている古代ローマのカメオリングも見てみてください。
スザンナと長老たち 拡大1
「スザンナと長老たち 」
この物語は1500年頃から数多くの絵画に描かれてきた。著名な裸体の女性の絵を依頼されたためという可能性は少なからずある。物語を強調した構図もあれば、裸婦に焦点をあてた作品も存在する。
※ウィキペディア
19世紀のシェルカメオで評価が高い物は、大型で古代ローマ・ギリシャ神話に基づいたモチーフで、この17世紀のシェルカメオのように名画をモチーフにした物は、ナポレオン1世時代から始まるカメオブーム以前の古い年代の物でなければほとんど見ることのない物です。

左の絵の左下にイルカの頭部から湯が流れている様子が、建物の背景に樹木が描かれていますが、この17世紀のシェルカメオにも同じようにイルカの湯口と背景に樹木が彫られています。

このことからこのシェルカメオの作者は、当時の絵画を見て彫っていることが解ります。

拡大2

このシェルカメオは構図が面白いですね。ローマ時代の露天風呂のような所で女性が湯を浴びているところなのでしょうが、当時の絵画にも見受けられるふくよかな体の女性で、イルカの口から湯が流れ落ちているのがうまく表現されています。
どうも建物の屋上にある風呂場のような気がします。女性の後ろの三角形が屋根で、その後方に煙突のような物が見えますから。それに樹木も上の方が彫られているのだと思います。人物や立木も後ろの方にある物は小さく彫って遠近感も表現されています。イルカも古代のインタリオに彫られているどう猛な感じのするイルカなのが時代を感じさせますね。

 市場で出回っているシェルカメオのほとんどは19世紀中期以降の物で、良い物ほど大型ですが、この17世紀末から18世紀初めのシェルカメオは4,2cm×3,5cmと小型なのが特徴です。それにも関わらず大型並の複雑なストーリー性のある構図を彫ってあるのが最大の特徴であり魅力なのです!

 このシェルカメオは構図の特徴、人物の顔の彫り、イルカの特徴、空の部分の表現、それに貝の種類などから判断して、1700年前後に作られた非常に古い年代のシェルカメオだと思います。
 こんな300年も前のシェルカメオなどは、市場で見ることはまずほとんど無いのです!パリの装飾美術館やルーブルでも見た覚えがありません!

 このカメオの価格が、巷で売られている19世紀中期の沢山あるシェルカメオと同じぐらいなのが不思議だとは思いませんか?
アンティークジュエリーは、解りやすくてある程度数が豊富にある物の方が値段が高いという不可解な事が珍しくないのです。モチーフがポピュラーな神話で、彫りがきちっとしていて装飾を施した金のフレームが付いている方が一般的には人気がありますしね。でも僕はこういう古い年代のカメオの魅力を皆さんに理解して頂きたいと思います。アートは工芸と違って技術だけの問題ではないからです。古い時代ならではの素材の持ち味を生かした独特の雰囲気と、生き生きとした彫りは、ブームになってからの一般受けを狙ったカメオには感じられないものなのです!


斜め
斜め バックライト
側面
裏


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