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スコッティッシュ ブローチ イギリス(スコットランド) 1860年頃 僕はこんな珍しいスコッティッシュは今まで見た事がありません! 多層の層を持つアゲートを模様がつながるように組み合わせて、斑点のあるアゲートを木の葉のようにカットして象眼してあるのですが、固い石にこれだけの加工を施すのは大変な事だと思います。 全体の輪郭も複雑ですから、これもカット、仕上げともに大変手間の掛かる事ですし、フレームをそれに合わせるのは至難の技なのです!!。 デザイン的にも優れていますし、中央にセットされたシトリンはとても濃い色の上質の石が使われていて、ちゃんとオープンセッティングにしてあるのも、特別の石である証です。 |
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スコティッシュ・ジュエリーは、1852年に英国王室が貴族から買い取ったバルモラル城をヴィクトリア女王が夏の別荘として愛用するようになったのがきっかけで、その地域で採れるアゲートやマラカイトなどの半貴石をシルバー台にセットした比較的安価なジュエリーが観光客向けに作られるようになったのです。 言わば高級なお土産品ですから、ほとんどの物は金ではなくシルバー台で高価な貴石は使っていないのです。でも1850年代から1870年代までのスコティッシュ・ジュエリーは、石の質、セットの仕方がしっかりしていますし、デザインもこのブローチのように、自然志向の面白みのあるデザインの魅力的なジュエリーが作られているのです。 |
この時代の物はそれ程沢山作られていませんし、今となっては滅多に手に入らないレアなジュエリーになってしまいました。ロンドンのポートベローなどでよく見かけるスコティッシュは、もっと後の時代、1880年代以降にバーミンガムで作られた量産品で、石の質も悪く、セットの仕方もただ松ヤニで接着してある簡単なな作りのお土産品レベルの物なのです。デザインもパターン化された物ですから似たような物が沢山ありますしね。 | だからこのような初期のスコティッシュ・ジュエリーは、現在10万円から20万円台のアンティークジュエリーとしては、その希少価値からしてとても魅力ある物だと思いますし、こういう物を購入されるチャンスは滅多に無い事なのです! |
女王のスコットランド好きは有名で、王室の子供はタータンを身に着け、大博覧会の開催を祝して催されたバッキンガム宮殿での舞踏会では、全ての客がスチュワート朝の衣装を身に着けるように要求されました。 また、フランスでも同様にスコットランド風のファッションが流行したことが知られています。 そんなことがあったので、このようなアゲートやスコットランドのケアンゴルムス産のシトリンがセットされたスコッティッシュジュエリーが、大いに流行したのです。 現在、巷で売っているシトリンは、ほとんどが質の悪いアメジストを加熱処理して着色したものです。 |
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オープンセットにされているシトリンは、スコットランド産のシトリンで、通常のシトリンよりも赤みのあるオレンジで、吸い込まれるような魅力があります! テーブルが曲面になっているのも独特です。 |
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シトリンがオープンセッティングなのは、とても上質なシトリンである証です!! スコッテッッシュでは極めて希なことです!! 裏にはこの時代のピンとキャッチがついてあり、オリジナルであることがわかります。 |
スコットランド ケアンゴルムス台地の河原 (highland photograpyより) |
これだけ大きく拡大して見ると、多数の層を持つアゲートの美しさと、枯れ葉のような模様の石をカットした物を二つ合わせて木の葉のように象眼している事がよく解りますが、このように曲線状にカットした二つの物をぴったり合うように象眼するのは至難の技なのです!! これほどのこだわりの細工をしているところが、19世紀後期の量産品のスコッティッシュとの違いであり、コレクターズ・ピースならではの事なのです。 特に最近はスコティッシュ・ジュエリーがなくなっていて、アンティークの物はバーミンガムの量産品すらなくなっています。 大きなケアンゴルムスは、代々、スコットランドで受け継がれているそうですが、こんな貴重な物がいつまでもあると思ってはいけません!!そのうち、本でしか見られない物になってしまいますよ?(笑) |