ステップカットのダイヤモンドはとても贅沢なダイヤモンドです。
え、何故かって？？

それはあまりキラキラ輝かないから・・・。（笑）
まあ冗談は抜きにして、でも本当にブリリアンカットのような華麗な輝きはないのです。でも派手な輝きではない、シックな輝きがあります。

エッジから忘れた頃にきらっと鋭く輝くのです。このカットの場合は輝きの強さが魅力なのではなく、ダイヤモンドの光沢感のある透明感が魅力なのです！！

このカットの場合は、傷や色が目立つので相当良い石でないと欠点が目立ってしまい魅力のないものになってしまいますから、贅沢なカットであると言えるでしょう。

アールデコのジュエリーの買い付けで一番難しいのはこのデザインの指輪なんです。
このカットのダイヤモンドだけなら今でもありますし、デザインもよく似た物があります。現代の物との違いは石留めやシャンクの作りの微妙な違いと、似ているけれどやはり微妙に違うデザインということになるからです。

実はダイヤモンドが初めてカットされて間もない17世紀頃のダイヤモンドはこのカットの石が多いのです。

でもアールデコのステップカット・ダイヤモンドのようにデザインを意識したためではなく、カットの技術が未熟だったために、最も単純なカットしか出来なかったのが
理由です！

それでもダイヤモンドが人気だったのは、
ステップカット・ダイヤモンドの光沢感のある透明感が、他の石には無い魅力あったからなのです！！！

考えてみれば面白いことですね、500年前に使われていたカットがその後400年以上も忘れられた存在であったのに、1930年頃にまた復活するのですから・・・。

1919年にトルコフスキー（ベルギーの数学者・宝石職人）が、数学的に計算されたカットのブリリアンカットを開発し、よりいっそう輝きの強いダイヤモンドが出回り始めた頃、それとは逆に余り輝かなくても、17世紀の人たちが好んだ光沢感のある透明感を求めて、ステップカット・ダイヤモンドが復活するのは、本当に面白いと思います！

ステップカット・ダイヤモンドは、普通のブリリアンカットの輝きに飽きた人か、個性的な物を好む人向きのカットと言えますね。


《現代のダイヤモンドに比べてアンティークの上質のダイヤモンドがずっと美しいのは何故か？》もご覧ください。