アンティーク 古代ローマ ビゾー・インタリオ「バッカスの秘技」(ディオニュス)
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インタリオ
「バッカスの秘儀」
古代ローマ 2世紀頃
ビゾー(胃石)&ゴールド
すべてオリジナル
1.2cm×1.6cm
サイズ13(変更可能)

画像ではカメオ(浮き彫り)に写っていますが、これはインタリオ(沈め彫り)です。
浮き上がって見える部分が、深く彫り込んであるのです。
インタリオは写真に撮って拡大して見るとその仕事の凄さが解るところが面白いですね。


このインタリオの魅力は、何といっても「バッカスの秘儀」という神秘的なモチーフにあるので、バッカスの秘儀とは何かからお話致しましょう。
ポンペイの遺跡にある秘儀荘には、ポンペイの赤と言われている美しい壁画があり、その中にこのインタリオのモチー
フの「バッカスの秘儀」が描かれています。酒と豊穣の神バッカス(ディオニュソス)は本来、トラキア、マケドニアの、集団的狂乱と陶酔を伴う秘儀における神でありましたが、ギリシャに伝わり、主に女性の間で熱狂的な崇拝を受けました。「バッカスの秘儀」はオルフェウスの秘儀との接触により、冥界とのつながりをもつようになり、ヘレニズム期以降、彼自身の秘教が大流行したのです。バッカスの信者になるには、秘密の儀式(秘儀)が行われました。それを授けられる女性の、戸惑いや不安、そして喜びが活き活きと表現されています。快楽主義のバッカス信仰は、ローマ元老院が禁止したにも拘らず、イタリア全土に広まったのです。結婚間もない女性や子供のない女性が多産を祈って入信したと言われています。

※ローマ名バッコス(Bakkhos)、英語名バッカス。ギリシャ名ディオニュソス

※オルフェウスの秘儀は、オルフェウスを祖とし、その詩を聖典として秘儀を行ない、清浄な禁欲的生活をすることによって、永劫回帰を脱し天界に救われると説くものです。 この霊魂論はピタゴラス、エンペドクレス、プラトンに影響を与えました。 その教義は、伝説の詩人・音楽家オルフェウスの作品にもとづくとされています。 紀元前前6世紀のオルフェウス教信者の墓からは金製の碑板などが発見されています。ギリシャ演劇は、ディオニュソス神の祭儀から発達したものです。

このインタリオほど、不思議な魅力に満ちた作品は無いでしょう。まず、何故、ビゾーと言う半貴石でもなく、綺麗でもない、胃の中に出来る結石を使ったのか?
それは、このインタリオの作者が職人ではなく、才能豊かなアーティストだったからだと僕は思うのです。あのロシアの天才ファベルジェも、オッドストーン(貴石ではなく希石)を使った作品を作っていますが、見た目の綺麗さや高価な石を使うのではなく、純粋にそのテーマにあった雰囲気を持つ石を選んだのだと思うのです。「バッカスの秘儀」には、綺麗なニコロやアゲートなどよりも、ビゾーのような不思議なイメージの石が似合いますからね。
この小さな石に14人の人物を彫り、快楽主義の秘教「バッカスの秘儀」が、当時の民衆にどれだけ熱狂的に信仰されていたかが強く感じられます。1800年も前に、遠近法を駆使した見事な表現力と創造力を合わせ持った作者とは、どんな人間だったのか知りたくなりますね。





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