バックライトの画像

僕はバックライトで浮かび上がったアキレスのシルエットを見て、これは古代ギリシャの陶器の技法、黒絵の影響に違いないと思いました。古代ギリシャ陶器の黒絵は、人物を黒で描きシルエットのように表現してありますが、このアキレスのカメオは正に黒絵と同じくアキレスを濃い色でバックを薄い色で表現してあるのですから!!
カメオでは通常濃い色の層に薄い色のモチーフの組み合わせが圧倒的に多いのですが、このアキレスのカメオではそれを逆転させている訳で非常に興味深い技法です。19世紀中期のカメオの大ブームの頃に作られた、ブラッカムーアと言われているあの悪趣味のカメオも同じ発想ですが、それよりも2000年も前に既に同じ発想の素晴らしいカメオが作られていたのは非常に興味深い事ですね。それにしても別冊太陽のアンティークジュエリー特集に麗々しく出ているブラッカムーアのカメオが、1千万円もの値段が付けられているのは正気の沙汰ではありません!あんな物はこの古代ギリシャのアキレスのカメオに比べれば塵みたいな物ですよ(笑)。因みにあの本には、全国のほとんど全てのアンティークジュエリー・ショップが紹介されています。紹介されていないのはSong of Rusiaだけでしょう(笑)、何故なら僕が掲載を拒否したからです!!
本が出版されてから編集者の方が「何故故取材拒否されたかを知りたくて」と、その本を手みやげにわざわざ来店されましたが、こんなに素晴らしい品物があるのにとても残念だと言って帰って行かれました。アンティークジュエリーの魅力を伝えようとされた編集者の方には気の毒ですが、ビジネス上どんなにマイナスになるとしても、本に紹介するべきではないようなつまらない物と、僕の品物が一緒に紹介されるのが我慢出来なかったのです!!(僕は商売が下手なんですよ(笑))
一般の人たちは本に掲載された物は全部良い物だと思ってしまうんですから!
これを読んでいらっしゃる賢明な読者の方なら、このアキレスのカメオがこの値段と言うのは限りなく良心的な価格である事が理解して頂けるのではないでしょうか?

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