このインタリオは、古い年代の作品としても際だった特徴があるとても魅力的な作品です。
　インタリオは18世紀後期から19世紀初頭にかけて流行しているので、この時代の作品には大型の物も見かけるのですが、17世紀以前の作品でこのような大型の物（5cm×3,6cm）は滅多にある物ではありません！！
　何故なら カメオはジュエリーとして身を飾る目的で作られる物ですが、インタリオは違います。古い年代のインタリオほどジュエリーとしての意味の他に、印章、お守り、呪術的な意味や身分を表す為などの目的で作られた作品が多く、このインタリオのようにモチーフが宗教とは関係がなく、印章やお守りなどの実用的な目的で作られた作品でもない、純粋にジュエリーとして楽しむ為に作られて作品というものは極めて少ないものなのです！！
　僕は、インタリオは世の中で最も解りにくい小さな彫刻であり、それだけに奥の深い面白さがあると思っていますが、この大型のインタリオ『緑の中のヴィーナス』 は、特に明るい日の光の下で見るとカメオに勝るとも劣らないジュエリーとしての魅力があるのです！！♪つまり実際に身につけた時にその効果を発揮する美しいジュエリーとしての魅力を備えているのです！♪
　 それはこれだけの大きさがあるからこそ表現出来た事で、緑の中のヴィーナスの美しい姿がルーペで見なくてもはっきり解るのが魅力なのです♪
　
　 使われている石はブラッドジャスパーというとても珍しい石で、ブラッドストーンとはまた違う赤い斑点があるのが特徴で、裏から光りを当てて見ていると、まるでうっそうとした茂みの中にキューピッドを従えた美しい姿態のヴィーナスが立っているようで、正に幻想の美といえるイメージです！！♪
　 Venus はローマ神話の女神で本来は菜園を司る神ですが、後にギリシア神話における豊饒の女神アフロディーテと同一視され、美と愛の女神と考えられるようになりました。それ故に作者は、緑滴るイメージの美しいブラッドジャスパーを見て、『緑の中のヴィーナス』 のモチーフが閃いたのではないかと僕は考えています！♪

　インタリオは、目で見るだけではどんな素晴らしい彫りでもその魅力は解らない物で、粘土かシーリングワックスに押して初めて、その彫りがどれだけ魅力に溢れるものかが解るのですが、このように大型の作品ならカメオのように身につけて楽しめるのが最大の魅力です！♪
　 しかもこの薄さが良いのです。大型のわりにはとても軽いので、ブローチ兼ペンダントのフレームを作れば現代の洋服にもとても使いやすいと思います！♪

　この魅力溢れるインタリオ『緑の中のヴィーナス』は400〜500年も前に作られた極めて希少価値のある作品であるのにも関わらず、19世紀のどこのアンティークショップでも沢山見かける19世紀中期のカメオと変わらない価格なのは、僕のプライスが採算ラインぎりぎりの良心的なものであるからなのです。そこのところをご理解頂ければと思います。

　表面に若干のヒビがありますが、とても浅いヒビですし、これだけの希少性のある古い年代の作品である事を考えれば全く問題の無い範囲のことです。