何という美しい赤でしょう！！赤い色はキリストの血を意味するのですが、色が均一でないのと半透明の石なので、下の石が透けて見えるからこそアーティスティックな雰囲気を醸し出しているのです。
　19世紀中期のカメオブームになってからの物は、綺麗で完成度の高い彫りではあるけれど、石の色が均一でどこか人工的な臭いがするのです。アゲートでこのような赤い色自体、見た事も聞いた事もありません。
　非常に珍しい石を手に入れた才能あるカーバー（彫り師）が、 石を見てこの美しい赤の色を生かすために
キリストの血のイメージにしようと思ったに違いないのです！
　商品としての誰にでも解りやすいカメオなら高度な技術で彫られた完成度の高さが必要でしょうが、芸術は技術だけの問題ではありません！キリストの慈愛に満ちた優しい眼差しを、天然のままの美しい素材の魅力を生かして見事に表現したこのカメオは工芸の域を超えた芸術作品と言える物なのです。
　真珠が付いたフレームは18世紀の物ですが、はんなりした艶がありとても魅力的です♪
　こんな素晴らしい17世紀（1600年代）のカメオが19世紀のカメオ に比べて高くないのですから不思議です。

ダブルフェース　カメオ
ドイツ　17世紀
アゲート
ペンダントのフレームは18世紀
3cm×2.5cm