【想い出・・・】
いや〜、僕はこれを見た時思わず「お〜!」っと声をあげてしまいました!♪ だってこんなに美しいエナメルの小物は見たことが無かったから・・・。 欧米の人たちは、旅に出るとき家族の写真を入れた写真立てを持って出てホテルの部屋に飾ったりするそうですが、まだ現代のような写真が無かったこの時代(1840年頃)にも同じことをしていたんだと思うと何とも微笑ましいではないですか♪ そういえばサリーニ作のポートレートカメオが、スタンド付きの携帯用ケースに入っていた物を扱ったことがありました。普通の人はまだ海外旅行など夢のまた夢だった頃、危険でもあった遠くへの旅路に最愛の人をわざわざ細密画に描かせて持って出た人はどんな人だったんだろうと感慨深いものがあります。 感性豊かで余程の美意識を持った人物だったのではと思います。 エナメル・ミニアチュール(細密画)とは、金属に硝子質の物質を溶かして専用の筆で細密画を描き、炉で熱を加えてガラス質の物にする技法です。普通の細密画よりも数段高度な技術が必要な上に大変な手間が掛かるので非常に高価な品物だったのです。(これに比べたらルイヴィトンのバッグなんて玩具みたいなもんですよ(笑))それにエナメルはガラス質ですから優れた耐久力を持っているのです。写真は10年も経たない内に退色してしまいますが、このエナメルミニチュールは160年程経っても当時のままの完璧な状態で美しさを保っているではないですか!!♪ ルネッサンス期のエナメルの作品を見てもほとんど当時の状態を保っていますから、普通の絵画よりも桁違いに耐久力はあるのです! このエナメルミニアチュールはよほど腕の良い職人が作ったのでしょう、絵筆で書いた ような描写が細部に渡って表現されています。特に婦人が首から下げている真珠のネックレスが浮き上がって見える立体感が凄いですし、亜麻色の巻き毛の描写も髪の柔ら かい質感が良く出ていると思います。 肌の陰影も柔らかい皮膚の感じが出ていてリア ルですしね。愛する人の姿を高価なエナメル・ミニアチュールで描かせて携帯するような持ち主ですから、 中途半端な職人には頼みたくなかったんでしょうし、彼女への愛情もとても深かっ たんでしょう!♪ 本体のギロッシュエナメルも細密画に優るとも劣らない非常に素晴らしい出来栄です! この細密画をクルッと回すと・・・、まるで吸い込まれそうな深く濃い青のエナメルが 現れます。見る角度によって変化する青いエナメルは筆舌に尽くし難い美しい色合 い♪♪♪これ程深くて透明感のあるギロッシュエナメルは滅多にあるものではありません!! 是非 実物をご覧になって頂きたいと思います。 ギロッシュエナメルは金属に地模様を 彫ってからエナメルを施す技法ですが、地模様の彫り方も素晴らしいですね、 本当に吸い込まれそうな美しい輝き方をします。 四隅の植物模様もセンスが良くて丁寧な仕事です、葉の葉脈や縁のギザギザまで綺 麗に表現されています。この部分は後から金で塗ったのではなくて彫り残したもので すから、凄い手間がかかっています!白い縁の部分も金属を彫ってからエナメルを施しててあるんですよ。 細密画のレベルの高さといい、エナメルの表現し難い美しさといい、写真立て全体の バランスや色合いが本当に趣味が良いですね。 こんな夢のある美しい小物は側に置いてあるだけでも心を癒してくれます・・・。 本来は写真立てのようにデスクに置いて楽しむ物ですが、僕は充分ペンダントとしても楽しんで頂けると思っています!♪
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