スカロップパールは、コンクパールのように誰にでも解りやすい綺麗な真珠とは違った魅力です。もっと奥の深い美しさ、アーティステックな面白みを感じる真珠だと思います。綺麗なコンクパールはお金さえあれば買える物ですが、このスカロップパールのような10カラットもある完璧な雫型の物はお金があったからと言って買える物ではないのです。

僕はは本来、アンティークジュエリーの魅力は、宝石その物にあるのではなく、宝石と言う美しく希少価値のある素材を使って、人間がどれだけ素晴らしいジュエリーに仕立て上げているかに興味があるのです。
宝石は神が作った物、ジュエリーは人間が作った物ですからね。
だから僕はカシミミールサファイヤなどのようにどんな高価な宝石でもほとんど興味がありません。それはすでに誰にでも知られている有名な石だからです！
でも、このスカロップパールのように日本では全く知られていないような宝石に出会うと、知られざる良い物を皆さんに知って頂かなければと情熱が沸いて来るのです！しかもダイヤモンドのカットやセッティングから19世紀中期から後期かけて作られた物と確認出来る物ですからね。

スカロップパールは僕自身初めて見る物ですが、ロンドンの二十年の付き合いのある信頼出来るディーラーからの物なのと、いろいろ調べてみたところ、段々スカロップパールとはどんな物なのかが解って来て、興味が尽きません！
僕がすっかり舞い上がってしまって、単純ミスしてスカロップ・コンクパールなんて思わず書いてしまいましたが、まあ、それほど珍しい真珠だと言うことでお許しください<m(__)m>。

コンクパールは、色が女性好みの綺麗なピンクで、養殖は難しいと言われる巻き貝からしか採れない事から希少価値があるとされ、人気があるのですが、アンティークジュエリーではもの凄く少なく非常に高価な真珠なのに、ルースなら日本でも数万円で売っている事に疑問を感じ、これは養殖だろうなんて勝手に決めつけていたのですが、調べてみるとそうではなく、ある時期から本来食用として採っていたコンク貝を、コンクパールを採るための産業として本格的に取り組んだ結果、日本の市場にも出回る程の量が採れるようになったと言うのが実情のようです。
そしてコンクパールはルースでも数万円から400万円ぐらいまでの大きな差があるのは、質の悪い安物は紫外線により退色する性質があるからのようです。ルースでもこの価格と言うことは、指輪などに加工すればその２倍以上の価格になると言う事ですから非常に高価な価格で販売されていると言う事です。

スカロップパールは、コンクパールのように一般の女性に好まれるような綺麗な色ではありません。でもまるでメノウのような変化に富んだ層や独特の斑点などがあり、アーティステックな魅力があるのです！
実際に付けてみて、これはどんな洋服でも合わせやすいし、付けるととっても楽しい物です。
それに何と言っても10カラットもある大きさと完璧な雫型の美しい形には驚きを感じます！天然の真珠では考えられない事ですからね！
グーグルで調べてみると、カナダの宝石商がスカロップパールを販売しているようですが、みんな小さな物ばかりです。

これ程の希少価値のある面白い天然真珠とはこれが最初で最後なんだろうなと思っています！
そしてあの帆立貝の形のブローチを見ていると、何だか不思議な気持ちになるのです。僕にはあの貝に描かれている帆立漁の船で、このスカロップパールが採られたような気がしてしょうがないのです・・・。
100数十年も前に作られた帆立貝にまつわるこんな珍しい物が二つも手に入るなんて本当に不思議です！
帆立のブローチを付けて、スカロップパールのペンダントを首に下げ、寿司屋で帆立を握ってもらおうかな
（笑）。