カメオとインタリオの優れた作品の条件の一つに、素材の特徴を生かしている事があげられますが、このシェルカメオは、シェルならではの湾曲した貝の特性を生かして立体感や奥行きを表現しているところが素晴らしいのです!! Aは少し左向きにして左上からのライティングで撮った画像ですが、湾曲したシェルカメオはこのように見る角度で変化するのが特徴であり魅力でもあるのです。 ミカエルの頭部前髪の辺りとサタンの頭部が茶色になっているのは、染めてあるのではなく、三層になった貝の一番上の茶色の部分を彫り残してあるのです!これなども素材の特性を生かしている訳で、優れたシェルカメオの特徴なのです。 このカメオのようにストーリー性のある複雑な構図の作品は、シェルならではの大きさを生かせるからで、ストーンカメオでは難しい事なのです。そしてストーンに比べてシェルは柔らかいので、デリケートな表現が可能なのも魅力のポイントです。 バックライトの透過光で撮った拡大画像で見てみると、ミカエルの衣服の柔らかで動きのある曲線と羽が非常に良く表現されていますが、透過光で見るとそれが惚れ惚れするほど美しいのは、巧みな彫りだからこそなのです。まるで夕日をバックに聖ミカエルがサタンと戦っているようで、とてもドラマチックでファンタジックな作品です! そして このクラスのこんな魅力溢れるカメオでもノーサインであり、ストーンカメオならありふれた中級品の価格である事もシェルカメオの魅力なのです!
シェルカメオ ブローチ 『聖ミカエル』 イタリア 19世紀中期 ハイキャラットゴールド・フレーム 6,7cm×5,5cm
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