作者は貝の特性にあった構図をイメージしてこの母子を彫ることにしたのでしょう。 おそらく、作品全体のまとまりと安定感を生み出す為に、頭の中で個々のポーズを充 分にイメージして、実際にラフスケッチもしていたと思います。 例えば、このカメオは子供を頂点にして、右に母親、左に葡萄の木を配置することに より、大きな三角形を描いていますのでかなり安定する構図になっています。個々のポーズだけでは不安定ですが3つが繋がることによってバランスよくまとめられているのです。そして、どう彫れば素材の持ち味を充分に生かせるのか?と葡萄の蔦の曲がる方向まで細部に渡り試行錯誤していたのでしょう。 絵画や彫刻は素材の条件(大きさ、質感)をある程度自分でコントロールできますが、シェルカメオは素材が貝ですから模様や大きさは自分で決められません。素材を見た作者の想像力やインスピレーションの閃きが作品を作る上での指針だったのでしょう!
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