この指輪は1900年頃に相当人気のあった指輪なんだと思います。透かしのパターンが若干違い、石がサファイヤのこれととてもよく似たデザインの指輪を以前に仕入れた事があるからです。だからたぶん、この指輪は当時のセミオーダーで作られた指輪だと思いますね。注文主の好みに合わせて石を変え、注文主に指のサイズに作られたと思うのです。シャンクの裏まで透かしが入っており、変更は不可能ですから。
　優れたジュエリーの条件であるずしりと来る心地よい重さがあり、それは全体に充分に厚みのある金を使い、叩いて鍛えて作られているからです。透かしの部分も厚みのある金の板から彫りだしてあり、蔦の葉は微妙に立体感がだされていますが、こんな事今やったら大変なコストになりますし、やれないかも知れません。
　センターのエメラルドは、アンティークでも滅多に無い もの凄く透明感のある美しいエメラルドが使われているのは、この指輪が当時も高級な指輪として作られた物だからです！♪
　この指輪は八方美人どころか全方向美人です！！♪（笑）
　裏も側面もすべてに透かしが施されているのでどこから見ても美しいのです！♪
　こんな指輪はアンティークジュエリーでも滅多にある物ではないのです！透かしを入れるのは、今の指輪のようにワックスや金型を使った鋳造でないだけに、もの凄く手間も掛かるし、余程の上手い職人でないと出来ない仕事なのです。
　この指輪は普通のアールヌーボーの指輪とはかなり違ったデザインです。言わば洗練されたアールヌーボーの指輪です！格調高いエレガントなデザインはアールヌーボーとベルエポック（エドワーディアン）のコラボレーションと言える秀品です！♪

《参考》
僕が過去に扱ったアールヌーボーのジュエリー