蓋の内側に上海にあったドイツ系の名前の宝石店名が書かれています。おそらく1920年代のケースでしょう。 上海は、1848年以降イギリス、フランスなどの租界(治外法権や行政権がある外人居留地)が形成され、1920年代から1930年代にかけては極東最大の都市として発展し、イギリス系金融機関の香港上海銀行を中心にアジアの金融の中心だったのです。 上海には1920年代より多くの西洋様式の建築が残されていて、特に黄浦江に面する川沿いの外灘は、上海市人民政府、香港上海銀行などヨーロッパ調の風情を感じさせる建築群として知られており、また、上海のシンボルとなっています。 上海は「国際都市」として不動の地位を有していました。そこには色々な民族の歴史模様が織りなされており、複雑かつ独特の街であったことがうかがえます。 このゴートレーのブローチの持ち主がロシアの革命の嵐を逃れて、中国に逃れ、当時の上海の高級宝石店に売りに出され、英国人がそれを購入してロンドンに渡って行ったのです。その旅の痕跡が残っているのがこのゴートレーのブローチのもう一つの魅力なのです。 やはりロシアで作られた物又はロシアから出た物には、Renaissanceという会社名をつけた僕にとっては感慨深いものがあるんですよ。続く
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