このカメオは女王クレオパトラがローマ軍に敗れ、死を覚悟して乳房をコブラに噛ませるシーンを彫ってあるのですが、こういうモチーフ自体、女性が身につけるジュエリーとしては異例の事で、特別にオーダーされた作品か作者が自分の傑作として売ることを考えないで作った物のように僕には思えるのです。このカメオはモチーフ、素材、フレームと、すべてが特別の物であることからもそのことが伺えます。 厚さ1cmもある四層のアゲートの最下層が半透明で何とも良い雰囲気の石で、渦巻き模様が入っている美しい石ですが、こんな変化に富んだ美しいアゲート自体滅多にある物ではないですし、それをまた巧みに生かしたデザイン力には目を見張るものがありますね。
次ページの側面からの画像をご覧になればその彫りの迫力と変化に富んだ美しいアゲートの魅力をお解り頂けると思います。

「悲劇の女王クレオパトラ」
ハードストーンカメオ　ペンダント
アゲート、18K
フランス　19世紀中期
5cm×4,1cm（ペンダントのチェーンを除く）