左上の葡萄のブローチは、1978年に大英博物館に寄贈されたHull Grundy Collectionを記念して、大英博物館から出版された「The Art of the Jeweller」に載っている作品です。当時の英国は黄昏の大英帝国などと言われ、今では考えられない程の不況のどん底でしたから、素晴らしいコレクションを紹介しているこの２冊セットの本は、残念ながらほとんどが白黒の写真で、僅かなカラーのページも色が良く出ていないのです。でもこれだけ多数の工芸的レベルの高いアンティークジュエリーを紹介してある本は未だに発行されていないと僕は思っています。僕の貴重な愛読書の一つです。この本は大分前に絶版になっているので 皆さんにお勧め出来ないのが残念です。

この「白い桑の実」のブローチは、全体のフォルム、部分的なデザイン、そして仕事も、左上のブローチと、とても良く似ていることがこの写真からもお解りいただけると思います。おそらく同年代の同一人物、もしくは同じ工房で作られた作品だと僕は思います。
では次ページの拡大画像でその見事なGold Smith（金細工師）の高度な技をご覧下さい！♪