水晶彫刻と細密画、それがエセックスクリスタル（リバース　ペインテッド　クリスタルインタリオ）です。

　立体ガラス絵とも言える手法で作られているので、見る角度によって美しい変化を楽しめるのです！♪
クリスタル・リバースインタリオがどんな物なのかは、まだまだ知られておりません。
　僕はこんな楽しい物は無いと思っていますし、この知られざる魅力をぜひ、皆さんに知って頂きたいと思っています。

クリスタル・リバースインタリオは、イギリスのスポーティング・ジュエリーに属する物が多いので、狩猟にまつわる狐、鹿、犬などが多く、男性の為に作られた物が多いのです。

　スポーティング・ジュエリーは、スポーツがまだ上流階級の人たちのものだった頃、スポーツの発祥地のイギリスならではのジュエリーです。

　19世紀後期に入ると、女性に好まれるジュエリーとして付けて映える美しい物が作られるようになるのです。

　クリスタル・リバースインタリオはヨーロッパで始まった言われていて、ベルギーの芸術家、Emile Marius Pradier が最初に作ったと言われています。

　その後1860年頃からイギリスで優れた作品が作られるようになったのです。

　ブラジルとマダガスカルから採れた天然の水晶を、ダイヤモンドの鋸でカットして、研磨されて、完全なカボッションの形にして、裏からインタリオを彫り、細密画が描かれます。

　この作業には、２０ものことなった段階の研磨が必要であり、全部の過程を手作業で行っています。

　石がカットされると、デザインがクリスタルの裏側に水彩で描かれ、その後、絵を罫書き針（けがきばり）で水晶に刻むのです。

　彫刻は、手作りの軟鋼の道具が使われます。

　250もの沢山の道具がこの手法に使われていることからも、高度な技術と大変な手間を掛けて作られていることが分かります。

　水晶は、油とダイヤモンドの粉のペーストで彫刻されます。

　水晶の絵付けは、彫る過程と丁度同じように、絵付けも逆に行われます。

　筆はリスの毛を使った細密画用の筆が使われますが、たった１本の毛しかない筆を使うこともあります。

　優れたエセックスクリスタルは深い彫りで、少しでもミスをすれば石が割れてしまう危険な細工です。

　今までこのタイプのリバースインタリオを、僕はエセックス・クリスタルと言って来ましたが、どうもこれは間違っていたようで、ペインテッド　リバースインタリオ・クリスタルと言うのが正解であることが分かりました。

　でもエセックスクリスタルという呼称が通っちゃっているので、これからはエセックスクリスタルとペインテッド　リバースインタリオ・クリスタルを併記することに致します。

　ロンドンやパリのディーラーもエセックス・クリスタルと言っているので、僕もエセックス・クリスタルと言って来ましたが、どうも一時期クリスタル・リバースインタリオを、エナメル・ミニアチュールで知られる Wiiliam Essexの物だとされていたからのようなのです。　　　　　　　　　　　　　　　　　2013,11,04 　Gen Katagiri